だんだんわかってきたのだが、豆を甘く煮たというのが、だめなのだ。ヨーロッパや中南米では、豆はもっぱらおかずの食材で、塩味で煮込んで肉料理の付け合わせやスープにする。スパイスを入れることはあっても、砂糖で煮るというのは、彼らの食経験からするとあり得ないのだ。しょっぱいはずのものが甘いと「気持ち悪い」につながり、おいしいと感じられない。
日本に留学していたオーストリアの友人は、「お菓子も、パンも、中に茶色いのが入っているからチョコだと思って食べたら甘い豆。今度こそはチョコと思ってもやっぱり甘い豆で、もうトラウマ」と語っていた。豆なのに甘い、チョコのようなのにチョコじゃない、二重に期待を裏切ってくるのが、あんこ入りの和菓子の非情なところだ。
和菓子に懲りて以来、長らく「キットカット」を鉄板手みやげにしていた。キットカット自体は、もちろん日本のものではない。スイスに本社を置く世界最大の食品・飲料会社ネスレ社の製品で、世界中のスーパーで手に入る。しかし、日本ほどに多様なフレーバーがある国はなく、抹茶やいちごのように定番化したものから、ご当地キットカット、それにわさびや日本酒といったとがったものまで数百の種類があるのは日本ならではだ。そこでスタンダード以外のキットカットを持っていくと、知っているお菓子だけれどフレーバーは目新しいので、「目新しいけれど受け入れやすい」のゾーンに入り、喜ばれるのだ。一番よく買っていくのは、日本らしさもある抹茶味だ。

ただし、キットカットも万能ではない。暑い国に持っていくと渡す前に溶けてしまうし、フレーバーによってはハラルでないものもあるのでイスラム教の家庭には持っていけない。
加えて、抹茶はきらいな人がいないと思っていたけれど、好きときらいがはっきり分かれる味だと最近わかってきた。確かに考えてみれば、抹茶の甘くて苦い味というのはコーヒーのようなもので、きわめて嗜好品的だ。国による差も大きいが、フィンランドで「喜ばれない」を通り越して「嫌な顔をされる」ことを経験して以来、キットカット抹茶味を選ぶのがこわくなった。そしてみやげ物探しの模索は続く。
そんなわけで、絶対盤石と思っていたキットカットへの信頼が揺らいで以来、「どこでも誰にでも喜ばれる万能なお菓子」というのはまだ見つけられていない。ただ、そんな万能選手を見つけることへの関心が薄くなったのも事実で、「すべての外国人が喜んでくれる日本菓子」という万能性よりも「この国の人は何が好きだろうか」と互いの文化の共通性を見つける方がおもしろくなってきたのだ。たとえば、せんべいは欧米ではいまいちだが、インドネシアではウケがいい。食事に添えるクルプックというものに似ているからと聞き、「歌舞伎揚」を持っていったら本当に喜んでくれて、あっという間に一袋が空になった。

米食文化であることと、あの甘しょっぱい味がケチャップマニスというインドネシアの国民的調味料に似ていて馴染みがあるのもよかったのかもしれない。
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編集元: あんこはトラウマ、グミは開封すらしてもらえない…海外へのおみやげに喜ばれる日本のお菓子の“正解”は?
福島原発事故以来、日本製食品全体ヤバいのイメージが定着したままなので、「プルトニウム入」食品はあまり喜ばれない…